重点領域 開発にかける想い
透析領域の開発にかける想い
透析剤開発のはじまり
1950年代
日本は透析療法の黎明期にあり、医療の現場では透析液の製造を研究する製薬メーカーを求めていました。扶桑薬品工業は、医療関係者から透析液の開発を求められ、医療の発展に応えるべく、当時未知の領域であった透析液の開発を決意しました。
1964年
1950年代後半にいち早く透析液の開発に着手。濃厚な液を作ることから始まった長年にわたる研究の末、日本初の透析液となる「人工腎臓潅流原液”フソー”」の販売を開始しました。
透析治療に寄り添って
1969年
現在まで続くシリーズとなる人工腎臓用透析液「キンダリー」の初代透析液で、1剤化できる酢酸型透析剤「キンダリー液1号」と、多人数に透析を行うための「キンダリー液2号」を発売しました。
その後も透析歴の長期化、患者背景の多様化に対応するため、「キンダリー液3号」、「キンダリー液GF号」を発売しました。
1981年
透析効率の向上による酢酸型透析剤の症状を緩和するため、重炭酸型透析剤で液-末タイプの透析剤「キンダリー液AF-1P号」、液-液タイプの透析剤「キンダリー液AF-1号」を発売しました。
その後も透析療法における薬剤の変化、患者背景の変化に対応するため、「キンダリー液AF-2P号」「キンダリー液AF-2号」、「キンダリー液AF-3P号」「キンダリー液AF-3号」、「キンダリー透析剤AF4P号」「キンダリー透析剤AF4号」、「キンダリー透析剤AF5P号」「キンダリー透析剤AF5号」と発売を続けました。
1983年
透析では治療の持続又は管理が困難な場合があるため、ろ過又はろ過透析を行うための補充液として「サブラッド-A」を発売しました。その後、「サブラッド-B」、「サブラッド-BD」、「サブラッド-BS」を発売し、現在の「サブラッド血液ろ過用補充液 BSG」へと続いています。
1998年
透析剤の軽量化が望まれ、さらには、医療機関の保管スペースの削減に対応するため、粉末3 剤タイプの透析剤「キンダリー2D号」、「キンダリー3D号」を発売し、2011 年に「キンダリー透析剤4D」を発売しました。
2001年
透析剤の溶解作業の煩雑さを改善するため、粉末2剤タイプの透析剤「キンダリー2E号」、「キンダリー3E号」を発売しました。その後も新規透析剤の開発を継続し、2011 年に「キンダリー透析剤4E」、2020 年に「キンダリー透析剤5E」を発売しました。
なお、現在では電解質・ブドウ糖濃度が異なる4種類の粉末型の透析剤を販売しています。
扶桑薬品工業は、透析剤のパイオニアとして、透析剤の発展とともにラインナップを拡充しました。
現在は、さまざまな病態の患者さんに対応した多彩なラインナップで、約35 万人※1 の透析治療を受ける患者さんに寄り添っています。
今後も新たな視点での透析剤の開発を通じて、患者さんの「生命(いのち)を支えて」まいります。
- 承認取得時の商品名を記載しています
- 日本透析医学会 統計調査委員会「わが国の慢性透析療法の現況(2022年12月31日現在) 」より
不妊治療・生殖補助医療(ART)領域の開発にかける想い
体外受精関連製品開発のはじまり
2000年
ヒト卵胞液の成分に近似した組成を有し、精子調整及び前培養や、卵子の前培養、体外受精、初期胚の培養まで幅広く使用できる培養液「HFF99」を開発し、販売を開始しました(2020年に名称をHiGROW HFFに変更)。
不妊治療に寄り添って
2017年
日本哺乳動物卵子学会(現日本卵子学会)との共同開発で、ヒト卵管内液の多成分解析データに基づいた組成の胚培養液「HiGROW OVIT」の販売を開始しました。
同年に「HiGROW IVF」「HiGROW HEPES」「HiGROW OIL」を発売し、不妊治療・生殖補助医療(ART)分野へ本格的に進出しました。
2018年
「HiGROW OIL」と比較して粘度が高く、無加湿条件下での培養液の蒸発抑制や培養液ドロップの保持に優れた「HiGROW OIL Heavy」を発売しました。
2018年
ヒト血清アルブミン(HSA)の添加作業の煩雑さを改善するため「HiGROW OVIT」「HiGROW IVF」「HiGROW HEPES」にHSAを予め添加した「HiGROW OVIT Plus」、「HiGROW IVF Plus」、「HiGROW HEPES Plus」を発売しました。
2024年
「HiGROW OVIT Plus」にヒアルロン酸を0.5 mg/mLの濃度で添加した培養液「HiGROW OVIT Plus HA」を発売しました。胚移植時に0.5 mg/mLのヒアルロン酸を含有する培養液を用いることで、妊娠率が向上することが報告されています※1。
扶桑薬品工業は、生殖補助医療(ART)の一連の流れで用いる製品を取り扱っています。
不妊に悩むカップル、ひいては日本が直面している重要な問題である少子化対策への貢献を目指して、
今まで培った経験に新たな技術を導入し、「生命(いのち)育む」製品の研究開発を進めてまいります。
- Heymann D, Vidal L, Or Y, Shoham Z. Hyaluronic acid in embryo transfer media for assisted reproductive technologies. Cochrane Database Syst. Rev. 2020: CD007421.
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開発にかける想い
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容器開発の歴史 ~輸液・注射剤~
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不妊治療・生殖補助医療(ART)領域 最新の業績