環境 TCFD提言に基づく情報開示

扶桑薬品工業は2024年3月に、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明しました。
TCFDの4つの開示項目(ガバナンス、戦略、リスクマネジメント、指標と目標)を充足すべく、検討を進めています。

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)とは?

TCFDとは、G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)※により、気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討するため、マイケル・ブルームバーグ氏を委員長として設立されました。TCFDは2017年6月に最終報告書を公表し、企業等に対し、気候変動関連リスク、及び機会に関する項目について開示することを推奨しています。

※各国の金融関連省庁及び中央銀行からなり、国際金融に関する監督業務を行う機関

「TCFDコンソーシアム TCFDとは」より

TCFD

ガバナンス

当社は、このサステナビリティ推進体制をより強化していくため、取締役会の監督の下、任意の機関として、2023年4月にサステナビリティ委員会を設置しました。

サステナビリティ委員会において、サステナビリティ基本方針・戦略・計画を策定、決定した上で、気候変動や生物多様性などの環境問題、人権や労働環境などの社会問題、ダイバーシティ推進といった人的資本に関する事項など、特定した当社のマテリアリティに対応した専門部会を設置し、各種活動の進捗状況の管理および推進をしています。

サステナビリティ委員会は年2回開催し、取締役会がサステナビリティ委員会から少なくとも年1回の報告を受け、サステナビリティ基本方針に沿って当委員会の活動状況、および戦略・計画の策定・進捗状況を監督します。その上で計画の見直しや投資判断、リスクと機会の分析等についてそれぞれの専門の立場から助言を行います。

戦略

かねてより取り組んでいる気候変動に関するリスクや機会について、各事業本部が出席する検討会を実施し、その結果、今後起こりうる気候変動は当社事業に大きな影響を及ぼす可能性があると評価し、具体的な影響分析とその対策についての検討を行いました。

想定されるリスク・機会の抽出と評価

各事業本部で各々の管掌下で想定しうるリスクと機会を洗い出し、集約した上でそのリスク・機会の発現頻度、影響額、回避・リスク移転可能性等の観点からその重要性を評価しました。なお、気候変動シナリオは、低炭素社会の実現に向けカーボンプライシングが導入されるなどの気候変動対策が積極的に採られ、気候変動によるリスク・機会は現状のまま推移すると想定した1.5℃シナリオ※1と、気候変動対策が進まず地球温暖化がさらに進むことを想定した4℃シナリオ※2を用いました。

  • 「Net Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)」(IEA)など
  • 「Stated Policies Scenario(STEPS)」(IEA)

特定されたリスク・機会と対策

1.5℃シナリオにおいては、カーボンプライシング導入に伴う原資材調達コストおよび課税負担の増加が見込まれており、サプライヤーとの協働や生産効率の向上・再生可能エネルギーの活用等によって中長期的にその影響を軽減させる取り組みを推進します。

4℃シナリオにおいては、当社が最も重要視する医薬品の安定供給に支障を及ぼす物理的な影響が想定されるため、事業継続計画(BCP)と歩調を合わせて対策を推進し、中期的な視点でリスクの軽減に取り組みます。

【◎】… 影響度「大」(影響額10億円超)【〇】… 影響度「中」(影響額1億円以上)【△】… 影響度「小」(影響額1億円未満)【-】… 影響なし 又は 限定的

リスク管理

代表取締役社長が委員長であるリスク管理委員会や経営会議において、当社を取り巻く全社的なリスクについて特定・評価し、対応方針を策定しています。気候変動問題については当社もその重要性を認識し、それらからもたらされるリスクは当社事業に大きな支障をきたす可能性があると評価しています。

気候変動に関するリスクや機会については、サステナビリティ委員会が管掌し、重要性評価プロセスは従来の全社リスク管理の手法と同様に、外部環境や内部環境の把握、リスクや機会の洗い出し、発生頻度・影響額を勘案して重要性を評価しています。

指標と目標

2013年の温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1+Scope2)を基準として、中期的には2030年、長期的には2050年における達成目標としてGHG排出量削減率を設定しています。また、それぞれの目標年度に向けたマイルストーンを設定することで、目標達成に向けた取り組みを進めています。

Scope3については2025年度をめどにその把握に努め、目標を設定した上でその削減に取り組みます。

Scope1・Scope2排出量(t-CO2)
Scope2013年度2021年度2022年度2023年度2030年度2050年度
Scope114,14514,02111,83111,0852013年度比
25%削減
ネットゼロ
Scope211,2159,7859,96310,258
Scope3排出量(t-CO2)

2025年度をめどに排出量を把握し、削減目標を設定します。