透析について 透析患者さんの食事のポイント

透析患者さんは食事について気をつける事がいろいろありますが、食事のポイントを守ることで楽しい食生活を過ごすことができます。
ここでは食事のポイントをまとめましたので、ご参考にしてください。

しっかり食べて、良好な栄養状態を保ちましょう!

1日のエネルギー摂取量の目安は?

血液透析患者さん
標準体重1kgあたり30~35kcal 注1,2)
腹膜透析患者さん
標準体重1kgあたり30~35kcal 注1,2,4)

1日のたんぱく質量の目安は?

血液透析患者さん
標準体重1kgあたり0.9~1.2g 注1)
腹膜透析患者さん
標準体重1kgあたり0.9~1.2g 注1)

十分な栄養を取り、適度な運動をすることで、サルコペニア※1
フレイル※2を予防しましょう。

  • 高齢になるに伴い、筋肉の量が減少していく現象。
  • 高齢になるに伴い、筋肉の量が減少していく現象。

塩分や水分の摂取量に気をつけましょう!

1日の塩分摂取量は?

血液透析患者さん
6g未満 注3)
腹膜透析患者さん
{ 腹膜透析での除水量(L)×7.5 + 尿量(L)×5} g

むくみがある患者さんや、高血圧の患者さんは医師の指導に従ってください。

塩分を取り過ぎるとどうなる?

塩分を多く取りすぎると、のどが渇き、水を多くとりやすくなります。
体内の余分な水分は透析で除去することができますが、除去量が増えると透析中に血圧が下がる原因にもなるので、塩分の取りすぎには注意しましょう。

減塩のコツ!
  1. 酢や果汁などの酸味、香辛料をうまく活用しましょう
  2. だしなどでうまみをうまく活用しましょう
  3. 麺類のスープや汁物、加工食品には塩分が多く含まれているので気をつけましょう

1日の水分摂取量の目安は?

血液透析患者さん
できるだけ少なく
腹膜透析患者さん
腹膜透析 除水量+尿量

なぜ水分を制限する必要があるの?

腎臓の働きが悪くなると、尿量が減少し、最後には尿がほとんど出なくなります。
尿が出ない状態では体に水分がたまるので、たまった水分は透析で除きます。
しかし、除く量が多いと透析中に血圧低下を起こしやすくなるため、水の摂取量を制限する必要があります。
また、水がたまりすぎると血圧が上昇したり、心臓に負担がかかり、心不全の原因ともなりますので注意しましょう。

カリウムの取りすぎに注意しましょう!

1日のカリウム摂取量は?

血液透析患者さん
2,000mg以下
腹膜透析患者さん
制限なし 注5)

カリウムは腎臓から排泄されるので、透析患者さんでは、血液中のカリウム濃度が高くなります。高カリウム血症を防ぐためにも、カリウムの取り過ぎには注意しましょう。腹膜透析患者さんでは透析液にカリウムが含まれていないので、高カリウムにはなりにくい特徴がありますが、油断はしないで下さい。

カリウムが多く含まれる食べ物

「リン/タンパク比」を意識して、リンをうまくコントロールしよう!

1日のリンの摂取量は?

血液透析患者さん
1日の適正タンパク摂取量 (0.9~1.2g×標準体重) ×15mg 以下
腹膜透析患者さん
1日の適正タンパク摂取量 (0.9~1.2g×標準体重) ×15mg 以下
例)標準体重60kgの透析患者さんの場合

リンの摂取量の目標=0.9×60×15mg~1.2×60×15mg=810mg~1080mg

リンは腎臓から排泄されますので、透析患者さんでは、血液中のリン濃度が高くなります。

リンのコントロールのポイント!

タンパク質にはリンが含まれているため、タンパク質を多く取りすぎると、リンの摂取量も増えてしまいます。
しかし、過度にタンパク質を減らすと、今度は栄養状態や筋力の低下という問題が起こるため、タンパク質の減らしすぎにも注意が必要です。
そこで、十分なタンパク質を摂取しながら、リンの摂取量もコントロールするコツとして、「リン/タンパク比の低いもの」を選ぶように心がけてみてください

食品中のリン/タンパク質比
リン/タンパク質比(mg/g)
<5 5~10 10~15 15~25 25<
卵白
鶏ひき肉
鶏もも肉
鶏むね肉
鶏ささみ
牛もも肉
牛肩ロース
豚ロース
豚もも肉
中華めん
ハンバーグ
まぐろ(赤身)
かつお

納豆
油揚げ
全卵
ウィンナー
米飯
豆乳
そば
木綿豆腐
魚肉ソーセージ
ロースハム
ヨーグルト
(加糖)
ヨーグルト
(無糖)
牛乳
プロセスチーズ
リンが多く含まれる食べ物

肉類、穀物、乳製品などに多く含まれるので、取りすぎに注意しましょう。
とくに注意する食べ物は、食品添加物としてリンが使用されている食品です。
例:練り物、ハム、ソーセージなどの加工肉、インスタント麺、ファストフード、一部の清涼飲料水など

  • 〔参考文献〕日本腎臓学会編「慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版」、東京医学社、2014
  • 体重は基本的に標準体重(BMI=22)を用いる
  • 性別,年齢,合併症,身体活動度により異なる
  • 尿量,身体活動度,体格,栄養状態,透析間体重増加を考慮して適宜調整する
  • 腹膜吸収ブドウ糖からのエネルギー分を差し引く
  • 高カリウム血症を認める場合には血液透析同様に制限する